Jul 25, 2011
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日本の原発で炉心溶融が進みつつある深刻な事態。米国では、放射性物質が放出された先例となっているスリーマイル島(1979年)の「悪夢の再来」との受け止め方も出ている。
「原発が危険にさらされている」(ワシントンポスト電子版)、「日本が避難命令発令」(ニューヨーク・タイムズ電子版)―。米主要メディアは12日までに、日本で原子力緊急事態宣言が出されたことを大きく紹介した。ダウ・ジョーンズ通信は「冷却水がなくなれば、米国最悪の原子力事故であるスリーマイル島事故と同じ結果になる」と報じた。
反核団体「ビヨンド・ニュークリア」のケビン・カンプス氏は、数日中に、原子炉とは別の燃料プールでも冷却水が沸騰し、「チェルノブイリ原発事故以上の壊滅的な被害が起きる可能性がある」と懸念を示す。「日本のチェルノブイリはロシアへの脅威か」と、ややセンセーショナルに報じたロシア紙もある。ロイター通信は、原子炉格納容器から蒸気を放出したことなどに触れながらも、「危険が去ったとは到底言えない」と指摘した。
日本は、インドと原子力協定締結交渉を進めているほか、昨年10月にベトナムの原発2基の建設を受注することで合意するなど、安全性を売りに、官民一体となって新興国への原発売り込みを行ってきた。だが、この事故で“神話”は崩壊。地球温暖化対策に役立つなどとして、原発を再評価する「原子力ルネサンス」の動きが世界的に活発化していたが、この動きにも、ブレーキがかかる可能性がある。ただ、中国やインドは原発建設計画に、変更はないことを強調した。
国際原子力機関(IAEA)によると、世界で稼働している原発の20%は地震の多い地域にあるという“怖い”データもある。事故を受け、国内では、原発を抱える各地の自治体や原発関係者から「大変な事態だ」「原発を取り巻く環境が変わってしまうかもしれない」と、深刻に受け止める声が相次いでいる。中国電力島根原発関係者は「バックアップシステムが多数あるのに、こうした事態になり、正直ショックを受けている」と険しい表情。まずは被害防止が先決だが、原発の耐震性の見直しのために、早期の原因究明も求められている。
◆チェルノブイリ原子力発電所事故 1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号炉で、試験運転中の原子炉が爆発、火災発生。欧州の20万平方キロメートル以上が放射性物質で汚染され、半径30キロ圏内の市民が強制避難、周辺地域で甲状腺がん増加の報告。死者は数千人から数万人と諸説ある。国際原子力機関などが定める国際事故の評価尺度は、8段階で最悪の「レベル7」。
◆スリーマイル島原子力発電所事故 1979年3月28日、米国ペンシルベニア州のスリーマイル島原発2号炉で発生。冷却水ポンプの故障、稼働した緊急炉心冷却装置(ECCS)を運転員が止めたことで、圧力容器内から冷却水が流失、炉心の3分の2が露出した。周辺住民は避難したが被曝(ひばく)は最大で1ミリ?で健康への影響はほとんどなかった。「レベル5」。
11日の東日本大震災の影響で、東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)周辺で、放射性物質のセシウムとヨウ素が検出され、経済産業省原子力安全・保安院幹部は12日、想定される中で、極めて深刻な事態とされる炉心溶融が起きたとの見方を明らかにした。また、同1号機で、午後3時36分ごろ、爆発が起きた。政府の説明では外壁崩壊だけで、炉心の格納容器に損傷はない。ただ、避難者3人が被ばくしたことも明らかになった。事故は国際評価尺度で、東海村臨界事故(1999年)に匹敵する国内過去最悪級の「レベル4」に相当するという。
爆発音と白煙が上がり、外壁が吹き飛んだ。程度が進めば、最悪の事態を招く恐れがある炉心溶融(メルトダウン)が、国内で初めて起きた後、爆発事故も発生。被ばく者も確認された。
東京電力や保安院は、震災発生と原子炉の自動停止以来、原子炉格納容器の圧力が高まり、破損するのを防ぐため、12日午前9時ごろから、容器内の蒸気を外に放出する措置を進めた。
蒸気は放出されたが、保安院幹部は「炉心の燃料が溶け出しているとみてよい」との見方を明らかにした。冷却水が蒸気となり失われ、炉心が露出。冷却できずにこもった熱が1200度以上に達し、燃料が溶け出したとみられる。
追い打ちをかけるような爆発は午後3時36分ごろ発生。1号機建屋で、大きな揺れの直後に、ドンという爆発音がして、白煙が上がった。爆発で、プラントの安全確保作業に当たっていた東電社員2人と協力企業の2人、計4人がけがをしたが、命に別条はないという。
枝野幸男官房長官は、この日夜の会見で、爆発について「水蒸気が格納容器の外側、建屋との間に出て、水素となり酸素と合わさり爆発した」と説明。炉心を包む格納容器自体に破損はないことを強調し、大量の放射性物質漏れはないことを強調した。冷却のため、海水を容器内に満たし、冷却を行う作業も開始したという。1号機敷地内では1時間あたり、1015マイクロシーベルトの放射線量を観測。一般人が年間に受ける放射線量の限度に相当するが、枝野長官によれば、爆発後も含め、この数値は下がっているという。
また、福島県はこの日、原発3キロ圏内から避難した3人が被ばくしていたと発表した。同県双葉町の双葉厚生病院の入院患者と職員計90人のうちの3人。避難後の抽出検査で、衣服に放射性物質の汚染が見つかった。
3人は蒸気が放出されたころ、原発から約3・7キロ離れた高校のグラウンドにいた。保安院は県に「ただちに除染する必要はない」と伝えたが、県は一緒に避難した人についても調査するよう自衛隊に依頼。今後、被ばく者が拡大する可能性もある。
この日夜、保安院の担当者は、原子力事故・トラブルの国際評価尺度で、今回の事故が東海村臨界事故に匹敵する「レベル4」に相当すると話した。8段階の上から4番目で国内では過去最悪級の事故。避難指示範囲は第1原発から半径20キロに拡大した。
◆炉心溶融(メルトダウン)原子炉の温度が上がりすぎ、燃料棒が溶けて破損する事故。冷却水が失われて炉心の水位が下がり、燃料棒が水面上に露出した場合、燃料棒中の放射性物質の崩壊熱が除去できず、温度上昇が続くために起きる。想定されている事故の中でも最悪の事態。1979年の米国のスリーマイル島原発事故で起きた。
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